2025年9月13日(土)に開催した、「とことん科学‼ 一般向け体験セミナー」に寄せられた質問にお答えします。
Q.
「火星で生命の痕跡発見」ということは火星でタンパク質が作れるということですか? ※ ※事務局補足 |
A.
材料と条件が揃えば、火星でもタンパク質は作れるはずです。
例えば、先日みなさんが行った実験は、温度や圧力を調節すれば火星上でも実行可能だと思います。
なお、宇宙に生命が存在したとしても、我々と同様の生体分子で構成されていない可能性もあります。
実際、大昔の地球上の生命にはDNAやタンパク質は存在せず、それらの役割をRNAが担っていたことが分かってきています。
(RNAは配列によってはタンパク質のような能力を発揮できます)
つまり、タンパク質は生命に必須の物質とは言い切れません。
ひょっとすると、我々が想像もしないような物質が生命(我々の定義から外れるかもしれませんが)を構成できるかもしれません。
また、リン酸塩鉱物と硫化鉄鉱物が見つかったからと言って生命が存在したという確固たる証拠にはなりません。
(これを「生命の痕跡発見」というのは個人的にはちょっと言い過ぎだと思います)
発見者たちが言っているように、これらの鉱物は生命活動とは関係なく作られ得るからです。
以上のことから、そもそも「火星で生命の痕跡発見」と「火星でタンパク質が作れる」は直接的にはつながらないのではないでしょうか。
(小川先生)
地球外に生命体が住んでいるか(又は昔住んでいたか)否かを判断するためには、多くの科学的な証拠をもとに、7段階の基準で判定します。今回の記事はその第一段階の可能性を示す観測結果として、地球上のすべての生物に存在するエネルギー代謝に関与する化学物質の存在が見つかりましたが、生物なしでもそのような物質は作られることも知られています。それで今回の発見はまだまだ研究の第一歩で、この結果から火星に生物がいたか(今も生きているか)を判断することはできません。火星は地球のお隣の一番近い惑星なのでもしも生命体の存在が先の将来確認されたら、タンパク質が作られて部品となって動く地球型の生命体である可能性は高いです。地球上の生物はすべてタンパク質の働きで生きているのですが、地球外の生命体がタンパク質を作って生きているとは限りません(タンパク質を持たない生物が存在するかもしれません)。この地球上でも生物と無生物(単なる岩などの無機物)を科学的に区別することは簡単ではありません。ビールス(新型コロナの病原体など)等はそれらの中間の性質を持つことから、生物と無生物の間の物質とも言われます。
(遠藤先生)
Q.
植物と動物のアミノ酸の違いとは? |
A.
基本的には植物と動物のアミノ酸には違いはありません。
植物中のタンパク質も動物中のタンパク質も同じ20種類(+α)のアミノ酸で構成されています。
ただし、タンパク質の種類や存在比などに違いがあるため、
各アミノ酸の”比率”には生物間や組織間で違いがあります。
(小川先生)
植物や動物タンパク質などすべての生物のタンパク質(生物の持つ以外にタンパク質はありません)は全く同じの20種類のアミノ酸からできています。アミノ酸とは、二種類の共通の化学成分を含む化合物の総称(カルボキシル基とアミノ基 )で、タンパク質を作っている20種類のアミノ酸以外にも色々な機能を持った多数のアミノ酸(非タンパク質性アミノ酸)はが40種類以上が知られています。
(遠藤先生)