開催報告
PIM2017 とことん科学!! ~発光の理由がタンパク質って、すごくない!?~
主に県内の中学生、高校生約70人が参加し、愛媛大学発の世界最先端の技術に触れました。 林秀則教授、遠藤弥重太特別栄誉教授及び坪井敬文教授が講演を行い、また林教授の指導のもと「無細胞タンパク質合成技術」を用いて蛍光タンパク質を合成する実験や電気泳動によるDNAを分析する実験にチャレンジしました。
参加者の感想(抜粋)
・クラゲが光るのを試験管で再現できたのが楽しかったです。 ・マラリアの話が分かりやすくて、私もしてみたい分野だと思いました。 ・自分が学習しているタンパク質がどのようなところで使われているのかが具体的に分かり、興味を持ちました。 ・実験も面白かったのですが、そこからの研究や現在のことも分かって良かったです。 ・中学生にとっては少し難しいと思いました。
講師の先生方からのコメント
参加者の皆様、お疲れ様でした。内容も濃く時間も長いので、大変だったかも知れません。 セミナーでお話した細かいことは忘れても構いません。 探求すること、不思議に思う気持ちを大切にしてください。興味を持った方は、ぜひ学習を続けてください。 またお会いできる日を楽しみにしています。
セミナー当日の様子をご紹介します
始めに松山市産業経済部地域経済課長から、開会挨拶がありました。 | 林教授・遠藤名誉教授・坪井センター長から、講演や実験の説明がありました。 | 日ごろからこのような実験を行っている大学生が、参加者の実験を補助しています。 | ||
実験2では、大学生によるデモンストレーションの後、希望者が操作の体験しました。 | 休憩時間には、クイズを体験しました。タンパク質で薬を作る仕組みをわかりやすく解説しています | 解説では、ブラックライトを用いて、タンパク質ができたかどうかを確認しました |
開催概要
とことん科学!! ~発光の理由がタンパク質って、すごくない!?~
生命科学における知識と技術はこの50年で大きく進展し、今日では生命活動を物理や化学の法則に従った現象として理解できるようになりました。人の精神活動でさえも、理解を越えた摩訶不思議なものではなく、生命を正しく知ることは「人間を知り、自分を知る」きっかけにもなるでしょう。 本セミナーでは、様々な生命活動にタンパク質の働きが不可欠であること、そしてタンパク質が生きた細胞の中だけでなく試験管の中でも、遺伝情報にしたがって作られていくこと、そして無細胞タンパク質合成技術が多くの分野に利用できること、などについて、簡単な実験を交えて解説します。 体験していただく実験は平成25年度から高校教科書「生物」に掲載されています。愛媛大学発の先端研究が全国の高校教育に取り入れられ、教育関係者から歓迎と期待の声が上がっています。
愛媛新聞(平成24年4月30日) | PIM2017一般向け体験セミナー専用ポスター |
セミナー情報
プログラム
開催日:平成29年10月21日(土)
会場:松山市役所 本館11階 大会議室
- 12:30
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受付
30分
【受付時間】12時30分から13時まで
- 12:45
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ビデオ上映
15分
プロテイン・アイランド・松山についての紹介動画を上映いたします。 映像を見ながら、開会をおまちください。
- 13:00
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開会・挨拶
5分
主催者挨拶
- 13:05
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講演1・実験1
45分
林 秀則 (愛媛大学プロテオサイエンスセンター 教授) 講演1:タンパク質を組み立てる 実験1:タンパク質を作ってみよう!
- 13:50
- 休憩 10分
- 14:00
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講演2
30分
遠藤 弥重太 (愛媛大学 特別栄誉教授) 講演2:私は何者でしょう?生き物って? ―神秘的な生命の原理を探ってみよう―
- 14:30
- 休憩 5分
- 14:35
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実験2・解説
60分
林 秀則 (愛媛大学プロテオサイエンスセンター 教授) 実験2:DNAを分析してみよう! 解説:実験1の解説
- 15:35
- 休憩 10分
- 15:45
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講演3
30分
坪井 敬文 (愛媛大学プロテオサイエンスセンター長 教授) 講演3:タンパク質はマラリアを無くす切り札
- 16:15
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質疑応答
15分
質疑応答・アンケート記入
- 16:30
- 閉会
※講演内容等は変更する場合がありますので、ご了承ください。
実験
試験管の中でタンパク質を作ろう!
普通、タンパク質は生きた細胞の中でしか作られませんが、この反応を試験管の中で再現。小麦の胚から取ってきた成分にオワンクラゲの発光タンパク質の遺伝子のコピー(設計図)を加えます。実験操作は小さなチューブに2種類の溶液を加えるだけで、溶液の様子に変化がみられます。 この実験は平成25年度から高校教科書「生物」に掲載されています。愛媛大学発の先端研究が全国の高校教育に取り入れられ、教育関係者から歓迎と期待の声が上がっています。
DNAを分析してみよう!
DNAはタンパク質の設計図として働くため、タンパク質の働きや生命の仕組みを研究するときにはDNAを調べます。DNAを調べる方法にはいろいろな種類があり、研究室で毎日のように使われる簡単な方法もあれば、高価な機械を使って正確に調べる方法もあります。セミナーでは「アガロースゲル電気泳動」という方法を体験します。これは生命科学の研究者が、DNAを調べるために毎日のように使っている方法です。そして得られたDNAの情報と作ったタンパク質との関係を考えます。
講演
タンパク質を組み立てる
林 秀則(愛媛大学プロテオサイエンスセンター 教授)
生きた細胞の中では遺伝子に書き込まれた情報に従って正しくタンパク質が作られます。つまり遺伝子はタンパク質の設計図ということになります。遺伝子はデオキシリボ核酸(DNA)という物質で、どの生物も持っています。DNAがどのようなものか、そこからどうやってタンパク質が組み立てられるのか、実感してみましょう。
タンパク質はマラリアを無くす切り札
坪井 敬文(愛媛大学プロテオサイエンスセンター長、教授)
マラリアは、アフリカなどの熱帯の国々で多くの人々を苦しめている病気です。マラリア原虫と呼ばれる小さな虫がヒトの体の中で暴れてこの病気になります。なぜタンパク質がマラリアを無くす切り札となるのか、わかりやすくその謎にせまってみましょう。
私は何者でしょう?生き物って? ー神秘的な生命の原理を探ってみようー
遠藤 弥重太(愛媛大学 特別栄誉教授)
DNAの設計図から作られる個々のタンパク質は働き者で、数万から数十万種類の共同作業によって2千万種とも言われる地球上の生物を作り上げています。タンパク質の性質を解き明かすことによって高次なヒトの精神活動の成り立ちも、理解できるようになります。
講演者
遠藤 弥重太
愛媛大学 特別栄誉教授 専門分野:タンパク質合成メカニズム
リボソーム研究,生物毒素の作用機構などの基礎分野研究で成果を上げ,現在はそれらを基盤としたバイオテクノロジー技術開発を進めています。 また、試験管内でタンパク質を合成する無細胞合成法の実用化に成功しています。
林 秀則
愛媛大学 プロテオサイエンスセンター 教授 生体超分子研究部門 部門長 専門分野:植物生理学
光合成研究の専門家で、植物や微生物の環境ストレス応答の機構および遺伝子操作によるストレス耐性の改変に関する研究を行っています。 また、高校生などを対象とした遺伝子組み換えの講義・実習を数多く実施しています
坪井 敬文
プロテオサイエンスセンター長、教授 マラリア研究部門 部門長 専門分野:マラリアワクチンの研究
マラリアワクチンの基礎研究で成果を上げ,現在は無細胞タンパク質合成法を基盤とした新しい時代のマラリアワクチンの研究を進めています。 このアプローチはマラリア撲滅のための新技術として注目されています。マラリア流行地と実験室を行き来しながら研究をすすめることを心がけています。
会場
会場:松山市役所 11F 大会議室 住所:〒790-8571 愛媛県松山市二番町四丁目7番地2 TEL:089-948-6714 ※駐車場がありませんので、公共交通機関をご利用ください。 交通アクセス ・市内電車 伊予鉄道松山市駅から2番環状線もしくは3番松山市駅線に乗車、「松山市役所前」で下車(160円) ・松山市駅から徒歩10分、JR松山駅から徒歩15分